平成23年度
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H23.11.9

難しいことはやさしく、
    やさしいいことは深く、
       深いことは楽しく。


勉強の仕方がわからない、という話を友達同士や先生との会話の中で聞くことがあります。しかし本当なんだろうか。本人としては確かに切実な問題で有り、事実ではあると思います。しかし厳しい見方をすれば、勉強、あるいはその方法がわからないというを、自分のこととして捉えているのでしょうか、と考えます。そのようなときあらためて聞くと、細々と答えてくれるのです。

数学の勉強法は?と聞くと「計算」と答えてくれます。英語の勉強法は?と聞くと「単語」と答えてくれます。国語は?と聞きますと「漢字」と答えてくれます。それでいいのです。まずそこから始めれば良いのです。もちろん、もっと合理的な学習法はあるはずです。しかし自分だけで始めるには、ともかく自分の頭だけで考えなければなりません。英語であれば文法を理解し単語の役割を知れば、もっと効率的な学習があると思います。

でもまずはできることから。つまり単語をひたすら覚えることから始めればよいのです。英文の意味は見えてきます。文法上の位置付けも、後から逆に見えてくるのです。まずは易しいことから始めることです。数学も国語も同様です。
難しいことは易しく、易しいことは深く、深いことは楽しく。

 難しいと思えば、易しく考えてみることです。まずはできることから。わかるところまで戻って学習することもいいでしょう。できることから地道な努力を続けることが大切です。難しいと思っていた教科書も、前年、あるいは前々年の教科書をみると、なーんだこんなことだったのか、と見方が変わることがあります。急がばまわれということでしょう。

 次に、易しいと思えればより深く考えるようにすることです。深く考えることで、見えないことが見えてきます。数学で、解き方は一通りとは限りません。一つの方法が理解できたら別解を考えるのです。国語でも、深く読み取れば読み取るほど主人公の心の動きが見えてきます。

 最後に、深く考えることができるならばきっと勉強は楽しくなってくるでしょう。大いに楽しんでください。その楽しさを、友達に分けてあげるのです。教え合いによってさらに理解は深くなります。難しいことは易しく、易しいことは深く、深いことは楽しく。頑張りましょう。


H23.10.15

心機一転、好機を生かそう

願いは叶う、思いはとどく。自分に負けない心が大事

 23年度前期が終わり、後期を迎え始まりました。この間、夏休みをはさみ皆さんは様々な行事に取り組んできました。運動会、修学旅行、魚沼自然教室、2年生福祉体験学習、あるいは各部の部活動、そして日々の学習です。大いに自己を成長させてきたかと思います。そして、次のステップに進むのです。

しかし皆さんの中には、「後悔」の思いがあるという人はいないでしょうか。自分の取り組みには、自信を持って「悔いはない」と言い切れる人はそう多くはいないと思います。皆さんの思いの中にも、後悔は少なからずあるのではないでしょうか。それは生かしていくことができる心の状態なのです。

 人が生きていくうえで、幾度かそれまでの自分を振り返る機会や節目という時があるのです。そのとき、どう捉えるのか。どう振り返るのかが大切です。心機一転という言葉があります。今までの自分を振り返り、「心」をあらため、「生活」をあらためること、これが心機一転。

 後期のスタートも大切な節目であり、生かすべき好機です。チャンスです。生かしましょう。
そして、思い立てば、いつでも「今日がはじまり」。新たな、初心の仕切り直しをしましょう。今一度、初心に返り、目標をつかみ直すのです。どんな目標が皆さんの初心だったでしょうか。今は、どんな希望を抱いているでしょうか。

 次の言葉を、覚えましょう。願いは叶う、思いはとどく。自分に負けない心が大事。

 さて、11日に始まった平成23年度後期にも、いろいろな学校行事が計画されています。今月18日には、自分に負けない心が試される「マラソン大会」があります。体育の授業で毎日、走っていますね。自分との戦いなのです。自分に打ち勝つ心を鍛えましょう。
 10月末は、各学級の団結を見せる絶好の機会である「合唱コンクール」があります。クラスの団結力を、見学される保護者の皆様に、そして各学級の担任の先生に見せてあげて下さい。

 さて、何と言っても日々の学習はおろそかにすることは出来ません。授業は皆さんにとって真剣勝負なのです。そして、12月には、全学年で進路面談が計画されています。日々の生活の中で、将来の自分を想像し今日からの生活をスタートしましょう。「凡事徹底」という言葉があります。平凡と思われることや当たり前のことが大切なのです。生活の基本を見直しましょう。話を聞く・時間で動く・挨拶励行。あるがままの自分をコントロールするのです。

今日あるのは過去の蓄積。未来は今、何をするかにかかっているのです。



H23.08.31

本気の結晶を自分のものに
~君のキラリと光るものは何?~

 体育館が、再び元気な生徒の姿で一杯になっていることを大変嬉しく思います。
 夏休み直前の7月17日、女子サッカー日本代表チームは、多くの日本人に元気を与えてくれました。対アメリカ戦で見る試合もそうでしたが、サッカーに限らず本気がぶつかり合うゲームでは、稲妻が飛び散るような勢いが見ている私達に迫ってきます。同様に、高校野球甲子園大会の決勝戦も、被災された東北地方の方々に、元気と希望を与えてくれたものと思います。

 夏休み前の集会では、学習でもいい、部活動でもいい、家庭や地域の手伝いでもいい、何か「キラリと光るもの」を手にして欲しい、とお願いしました。「キラリと光るもの」それは、「本気の結晶」と言ってもいいでしょう。なでしこチームでも、高校野球でも、本気がぶつかり合っているのではないでしょうか。レベルは違うかもしれませんが、本気にならなければ、得られるものは残らない。そう思っています。

 私は、この夏休みも「キラリと光るもの」をたくさん見ることができました。大会やコンクール、汗まみれで頑張っている姿、学習教室で黙々と鉛筆を動かしていた姿。そこには「本気」がありました。疲れたと思うが、その疲れはどこか爽やかだったのではないでしょうか。

 これからの7ヶ月は学校生活の中でも最も充実する時期。学習以外でも生徒会役員選挙、合唱コンクール、文化祭、マラソン大会など、大きな学校行事が多く設けられています。一人一人が「本気の結晶」をめざし、学年や学校全体が一丸となり団結力を見せて欲しいと思います。

 3年生は、合唱コンクールでも学習でも、後輩に見本を示してください。2年生は、中堅学年として、いよいよ生徒会や部活動でリーダーシップを大いに発揮してください。1年生の皆さんは、この夏を乗り超えてより中学生らしさを身につけてくれたと思います。地に足をつけた生活を見失うことのないようにしましょう。『光陰矢の如し』という言葉があります。光と陰、つまり一日は矢のように早く過ぎ去ってしまうという言葉です。

 これからの7ヶ月、本気とエンジン全開で、西新井中の船を出帆させていきましょう。


H23.07.20

心の痛みのわかる人に
   一緒に考えていきましょう

  「あなたの周りでいじめを見ることはありますか。あなたの学級でいじめを見ることはありますか。」 
私が、ここ数年、秋になると3年生を対象に行っている面接で、必ず聞く質問のひとつです。

どうでしょうか。そして、あなたは、この質問にどう答えますか。
私は次に、「では、もしあなたの目の前でいじめを見たとしたら、あなたはどうしますか?」 という質問を続けます。ほとんどの生徒は、「私は、いじめられている人の力になってあげます。私は、やめるように言い、めさせます」と答えてくれています。私は、面接質問の流れをそこで切り、「ありがとう。」と声を掛け、また面接に戻ります。友達関係で嫌な思いを受けている人が、あなたの周りには、いないでしょうか。いじめを受けていると感じている人がいないでしょうか。さて、あなたの目の前で、嫌な思いをしている人をみたら、あなたはどうしますか。どんな対応をとりますか?

 多くの人は、面接で答えてくれたような優しい心を、間違いなく持っていると思っています。しかし、時として、自分のことだけしか目に入らない、狭い見方や考え方で行動したり言葉を発してしまうことが、あるのです。ささいな、そしてたった一言がその人の心を傷つけたり、痛めたりすることがあるのです。痛みを受けた人の心を見ていかなければ、見逃してしまいます。見て見ぬ振りは、それを荷担しているとみられても、仕方がありません。一人一人が心の痛みのわかる人になって欲しいと思っています。

 本校では、毎年2回「悩みごとアンケート」を実施しています。生徒からの回答には、実に多様な悩みごとを見ることができます。勉強のこと、部活動のこと、自分のこと、そして友達関係のこと。先生に積極的に相談をして見てください。

 人には、悩みがあるから成長があるとも言える一面はあります。しかし、お互いがお互いを助け合い、人を大切にする関係は、人には大きな生きる自信をつくるのです。ほんの一言が人を傷つけることがあります。また、ほんの一言が人を勇気づけてくれることもあります。

 誰もが、気持ちよく生活をしていかなければなりません。言葉による表現力が十分でなく、友達同士のコミュニケーションが足りずに、友達関係のねじれを自力で解決できなかったりすることがあります。「おかげさまで」という感謝の気持ちもぜひ大切にして欲しいと考えます。

明日から、いよいよ夏休み

 今、皆さんに一番気に掛けて欲しいことは、「計画」。この夏休みを、流されることなく生かすことができれば、大変有意義な5週間となります。普段できないボランティア活動、作品の制作、読書、家族の中でのお手伝い等々、本当に様々なことに挑戦ができる5週間なのです。この貴重な夏休みを、絶好の機会として生かして欲しいと思います。少なくとも、学習面で遅れているな、と思っている人はこの機会を逃してはなりません。自分のペースでおさらいができるのが、この5週間。学校でも学年の補習や質問教室の他、昨年も行った学習教室は、今年も開催します。積極的に活用してください。



H23.06.02
水無月を迎えて 平成23年も折り返しに

 6月を迎えました。6月を水無月(みなづき)ともいいます。これは、水を稲の田に入れる必要がある月、という意味だそうです。豊かな稲を育てるには、その時々の「手間暇(てまひま)」が必要になるということを教えてくれています。もともと日本人は、稲作を中心とした農耕民族でした。労力を惜しんでいては立派な米はとれません。稲作はまことに手間暇がかかる作業で、時期をみながらの手順を踏んだ細かい作業が次々に待ち受けている。
 手間暇の「手」は労力を、「間」と「暇」は費やす時間を意味します。稲作によって生命を保ってきた日本人は、手間暇かけて仕事に励む習性を身につけてきたと考えられています。おのずと手先も器用になり、それが、日本の傑出した先端技術力の下地になっているのかもしれません。さて、それぞれが自立をめざしていく皆さんにとって、今必要な「手間暇」は何んでしょうか。それは、様々な学習であり、様々な活動であり、様々な人としての関わりです。中学生の皆さんには、どうしても労力は必要なのです。また費やす時間も必要なのです。時には、恵みの雨や、強い日差しも必要なのです。水無月を迎えて、稲作に学ぶこともあるようです。

 さて、東日本大震災が発生し、間もなく3ヶ月なります。校長室前に、『今日のニュースから』というコーナーを設け、しばらく、その日の新聞のスクラップを、重ね貼りをしていました。大変痛ましい情報に、ただただ心の痛む思いでした。田植えについては、田が海水に覆われてしまっているため、まずは土壌の改良から始めなければならないそうです。

 記事の中には、多くの若者の活躍とともに、中学生の活躍も数多く紹介されていました。感動したり頭の下がる思いや、多くの学ぶべき事が数多く、示されているように思いました。
そうした中、『釜石の奇跡』と言われているニュースが目に入りました。釜石市も、市街は壊滅的な被害でした。しかし、小学生・中学生は98%の避難ができたそうです。奇跡という言葉でで表現されています。
3月11日、新聞で紹介された釜石東中学校の生徒は近隣の小学校児童の手をひき、500メートル後方にある高台のグループホームまで避難したそうです。ここは指定避難場所だったがそうですが、一息つく間もなく、裏側の崖が崩れるのを目撃し、危険を感じ、さらに約500メートル先の高台にある介護福祉施設を目指し避難したそうです。その約30秒後、グループホームは津波にのまれてしまったそうです。

同市では、釜石市の避難3原則を徹底してきたそうです。それは、1.想定にとらわれない。2.最善をつくす。3.率先避難者になる。の3点だそうです。
 ここは、指定避難場所だから大丈夫だろう。これも、想定にとらわれずさらに高台をめざしました。その時の唯一の写真があります。必死になって小学生の手を引き駆けている様子が、写真に見ることが出来ます。同市内の中学校はいずれもこの3原則を守ったのでしょう。
 たくさんのことを学んでいかなければなりません。

H23.04.12

伸ばそう力 輝け心 

      磨け・高めよ・元気よく

 入学、進級おめでとうございます。
 平成23年度の西新井中学校は、1年生が184名、2年生が186名、3年生が194名、全校生徒は564名でスタートしました。昭和50年に創立し、以来今年で37年目を迎え、新たなステージへと踏み出しました。564の決意と夢を、育んでいきましょう。本校は、伝統のある学校で、多くの卒業生が巣立ち、各方面で活躍しています。私たち教職員一同は、そのような本校を、生徒の皆さんと、保護者の皆様と、そして学校を支えてくださっている多くの地域の皆様とともに、より良い西新井中学校をめざし、築いていきたいと考えています。
 生徒の皆さんには、学習で、委員会活動で、部活動で、ボランティア活動で、大いに、自分を伸ばし、様々な場で、「輝き」を見せて欲しいと願っています。

 中学校は自立した大人に向け、一歩一歩と歩みを進めていくところです。進んで意欲をもち、取り組む姿勢や気持ちが大切です。本校の教育目標は、東玄関の奥に建てられている石碑のとおり、「知性、品性、体力」の3点です。あらためて、考えて欲しいと思います。

知性 
人は考えることで、より価値の高い人へと成長するのです。ものごとをより深く、より先を考えることや、周りの人をその立場になって考えること。広く、深く考えることを、学校生活の中で鍛えていきましょう。

品性 
人としての価値です。徳という言葉でも表されています。何が良いことなのか、何が悪いことなのかをしっかり見極め、マナーや立ち居振る舞いができることが必要です。気遣い、気配りも、必要です。学校での生活をとおし、人としての魅力を高めていきましょう。

体力 
すなわち健康です。皆さんの学校生活の全ての基本はここにあります。授業も、思いやる心も、まずは健康と体力が下地です。栄養、運動、休養、すなわち、規則正しい生活が必要です。進んで体力・気力をつける人になっていきましょう。

 この3つの目標は、江間章子先生作詞、團伊玖磨先生作曲による校歌にも歌われています。1番では「磨こうよ、知性」、2番では「高めよう、徳を」、3番では「学ぶよ、元気で」。 あらためて、23年度の目標は、

  「 伸ばそう、力  輝け、心  磨け・高めよ・元気よく 」

としたいと思います。価値ある1年間にしていきましょう。

 今、東北地方では大変厳しい生活を強いられています。しかし、今、日本が一つになって、東北地方を応援しています。日本が一つになろうとしています。また、世界が日本を、東北を応援しています。私たちは、この災害から、多くのことを学ばなければならないと考えます。
 日本が一つになるとき、この西新井中学校は、新たに1年生を迎え、「チーム西新井」として一つになり、学んでいくときと考えます。